正社員の副業をOKする企業の意図。ロート製薬の社外チャレンジワークから兼業禁止/解禁の在り方を考える。


045fukugyou-kaikin-022016年4月より、ロート製薬が従業員の兼業(副業)を解禁します。発表当時大きな話題になりましたが、よくよく調べてみると現時点で手放しに褒めるのは早い気も…。本記事では、ロート製薬の兼業(副業)制度を詳しく見るとともに、今後の副業制度の在り方を考えます。

ロート製薬の「社外チャレンジワーク」制度

2016年2月24日、目薬で有名な製薬会社ロート製薬は「社外チャレンジワーク」制度の導入を発表しました。同社HPによると同制度は

“土・日・祝・終業後に収入を伴った仕事に就業すること(兼業)を認めるというもの”

要するに従業員の兼業(副業)を認める制度のようです。

朝日新聞デジタルによれば、実施は2016年4月より、対象となる社員は約1500人、ロート製薬HPには2015年3月末時点で従業員数は1516名となっていますから全社員が副業可能ということのようです。

ロート製薬によれば、この制度の目的は

・会社の枠を超えて培った技能や人脈を持ち帰ってもらい、ロート自身のダイバーシティー(多様性)を深めるねらいがある

・社内ではない刺激や気づきがあれば、座学より社会経験が積める

とのこと。

社外で就業することで従業員の視野が広がり、ひいてはロート製薬の利益になる、ということのようです。

 

なぜロート製薬の副業(兼業)解禁が話題になったのか。

そもそも、なぜ一企業の社内ルールに過ぎないロート製薬の副業解禁が各所で話題になったのでしょうか。

端的に言えば、多くの企業が就業規則により従業員の副業を禁止しているからです。一般財団法人労働行政研究所が企業のマイナンバー対応アンケートの一環として行った就業規則による副業禁止規定についてのアンケートでは、83.5%の企業が、副業禁止規定を設けている、という結果が出ています。

これほど多くの企業が副業を禁止するのは、たとえば疲労の蓄積による仕事の質の低下、同業他社への企業秘密漏えい、従業員が夜の商売をすること等による企業イメージの低下など、本業への悪影響を排除することが目的です。企業の立場に立てば、従業員の副業を禁止することには一定の合理性があるといえるでしょう。

企業の大多数が従業員の副業を禁止する中で、誰もが知る有名企業が本業に影響を及ぼす可能性をはらんでいる副業を解禁した、とあれば話題になるのもうなずけます。

ただし、そもそも会社が就業規則で副業を禁止していたとしても法理論的には就業時間外の兼業・副業は原則として自由ですから、ロート製薬は当たり前のことをしているだけ、という気もしますが…くわしくはこちらの記事をご覧ください。

 

“副業解禁”といえるかは制度の運用次第?

また、“ロート製薬が従業員の副業を解禁した”とは言われていますが、よくよく調べてみると疑問も出てきます。

ロート製薬のHPには副業の解禁について“土・日・祝・終業後に収入を伴った仕事に就業すること(兼業)を認める”とあるのみで制度の具体的な内容は書かれていません。社内のルールに過ぎないから、あえてHPで詳細を公表する必要はない、と言われればその通りでしょう。

しかし、朝日新聞デジタルの記事には、

“就業先を届け出れば、平日の終業後や土日祝日に他社で働き、収入を得ることを認める”

とあり、ITmedediaニュースの記事には

“「本業に悪影響を与えない」「社会への貢献度」などを審査基準に、社内から自発的な立候補を募る”

“審査の基準や実際の運用は、希望者を募る中で整えていく”

とあります。

各記事の内容が正しいことを前提にすれば、ロート製薬の「社外チャレンジワーク制度」は、副業解禁とはいっても、

・事前に従業員に副業先を届け出させ、

・会社が副業について審査をする、

という手続きが必要なようです。

 

これを見る限りでは、具体的な場面で従業員の副業を認めるか否かは会社の裁量にかかっているようにも読めます。

もちろん、例えば毎日9時から17時まで働いている社員が就業後に副業で毎日18時から深夜2時まで働こうとしているとか、稼ぎがいいからといって風俗など会社のイメージを落とす副業をしようとしているなど、明らかに本業に支障が出るような副業を会社が禁止したとしても問題はないと思います。

しかし、審査の基準や運用次第では本当に副業を解禁したといえるのかどうか怪しい制度になる可能性もあります。

あくまでたとえ話ですが、副業解禁の真の目的が、従業員の給料を抑えて人件費を削減する点にあったとしましょう。そして会社側は、あまりに副業で稼がれると本業への熱意を失ったり会社を辞められるリスクがある、と考えていたとします。その場合、数時間のコンビニのアルバイトのようなそれほど高収入は望めない副業は認める一方で、アフィリエイトのような本業の合間であっても本業以上の収入を得ることのできる副業は「これは社会への貢献度が低い」など適当な理由をつけて認めない、という可能性もないとは言えません。

また、「兼業の経験を本業の会社の仕事に活かせるか」という基準を設け、それを厳しく判断したとすれば、副業解禁の範囲は狭まり、副業解禁とは名ばかりの社員教育費削減制度になってしまうかもしれません。

もちろん、これらはかなりネガティブな推測です。実際は届出をすれば原則として副業を行うのは自由で、ハードワーク過ぎて本業に支障が出るなど、明らかに認めるべきでない副業のみ禁止するのでしょう。

しかし、“副業解禁”という抽象的な言葉だけで判断せず、制度の具体的な内容をしっかりと検討する必要はあるでしょう。

 

他社での就業と個人事業主としての就業

ロート製薬の副業解禁について調べていると、朝日新聞デジタル等いくつかの記事では、「ほかの会社やNPOなど」での兼業(副業)と書いてありました。一見すると、他社に雇われるのはOKだが個人事業主として働くのはNG、とも読めます。

もちろん、「など」の中に個人事業主としての就業が含まれていると読むこともできますし、ロート製薬HPには単には「就業すること」とあったので、おそらく他社に雇われて働くことも個人事業主として起業することも想定しているのではないかと思いますが、ここで、他社に雇われるタイプの副業と個人事業主としての副業の違いを本業の会社の視点で考えてみたいと思います。

本業に対するモチベーション

一般論としては、個人事業主としての副業を禁止することに企業側のメリットがあります。

一つは、個人事業主としての副業は社員の本業に対する熱意を低下させるおそれがある、ということです。

これは特に従業員が兼業・副業を行う目的が収入アップにあった場合に起こりやすい問題です。人に雇われる対価としての給料は、基本的に労働時間に比例しています。そのため、本業会社で8時間働く給料を、3時間しか働かない副業先の給料が超えることはまずありません。本業就業後の就業では副業の雇用形態は正社員ではなくアルバイトでしょうから、仕事の内容面からみても、本業の給与を超えることは考えづらいでしょう。

しかし、副業・兼業が個人事業主としての就業である場合は話が変わってきます。個人事業主の収入は基本的に成果主義であり、収入が労働時間に比例するとは限りません。もちろん、アルバイト以下の収入しか得られないケースも多いですが、逆に本業の合間の時間で、本業の給料以上に稼いでいる人も少なからず存在しています。

特に従業員の副業の動機が収入にあった場合、本業の給料より副業の収入が多くなると、従業員の中で本業と副業が逆転し、本業であったはずの会社の仕事へのモチベーションが落ちるケースが多々見られます。副業がうまくいきすぎて本業の会社を退職してしまった、という話も決して珍しくはありません。

本業会社の立場に立って考えると、副業で収入を上げすぎた従業員の仕事の質が下がったり退職したりという事態は避けたいと考えるでしょう。個人事業主としての副業にはその可能性が多分に含まれるため、他社に雇われる副業のみを許すことは本業会社にメリットがあるといえます。

深読みしすぎかもしれませんが「兼業」ではなく「副業」という言葉を使っている場合には、本業以上に稼ぐことを想定していない場合が多いように思います(ちなみに、ロート製薬のHPには“「社外チャレンジワーク制度」とは土・日・祝・終業後に収入を伴った仕事に就業すること(兼業)を認めるというもの”とあり「副業」という言葉は出てきていないようです。)

組織人として扱いづらくなる

本業企業にとって個人事業主としての副業を禁止したいもう一つの理由は、個人事業主経験者は組織人として扱いづらくなる可能性がある、ということ。

従業員は会社という組織の一員です。最終的には上司の命令に従う必要がありますから、自分の考えとは真逆の行動をしなければならないことも多いでしょう。

他方で、個人事業主はその事業に対するすべての権限を握っています。そのため、人の命令に従う必要もありませんし、自分の判断のみに従えば足ります。自分の判断と行動が収入等の結果に結びつき、本業の給料以上の収入を上げることができれば、自分の能力に対する自信も出てくるでしょう。

個人事業主と組織人の適性は相反する部分も多く、一度個人事業主としての働き方を知ってしまった人間は、組織内での主張が激しくなり扱いづらくなるのではないか。そう考える企業も少なからずいるようです。

組織人として扱いづらくなる可能性があるということも、個人事業主としての兼業・副業を禁止する動機になるでしょう。

 

※繰り返しになりますが、ロート製薬の社外チャレンジワーク制度が個人事業主としての兼業を禁止している、と言っているのではありません。一般論として本業会社にとって個人事業主としての兼業副業を禁止するメリットがある、ということです。

 

副業・兼業が当たり前の社会

ロート製薬の副業解禁の流れは、今後他社に波及する可能性を多分に秘めています。本業会社にリスクもある一方で、副業の解禁は従業員に対する給与を抑えるうえで有効な手段でもあるからです。そのことに気付いた多くの企業が人件費削減の手段として副業を解禁すれば、今後は本業の会社からの給料だけでは生活できない社会になってしまうかもしれません。

また、個人事業主としての副業のみを禁止する企業が実際に出てくるかどうかはわかりませんが、本業の就業時間外に副収入を得ようと考えた場合、間違いなくアルバイトよりも個人事業主の方が儲かる可能性を秘めています。

アルバイトでは生活費の足し程度にしかなりませんが、個人事業主として適切な方法をとれば、現在自分がやりたいことにお金を使いながら将来のための貯蓄をすることもできます。

もっとも、個人事業主としての働き方は会社勤め以上に多種多様ですから、これまでサラリーマンだった人がいきなり我流で始めても、うまくいかない場合の方が多いでしょう。実際、成功している人のほとんどは最初に誰かからノウハウを学んでいます。

また、オークション転売等のように仕入等に大きなコストかかる副業の場合、失敗すれば何十万、何百万の赤字が出る可能性すらあります。収入を増やすための兼業・副業で逆にお金を減らしてしまっては元も子もありません。

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