ブラック企業対策として政府や厚生労働省は何をしている?対策法案はあるのか。
自分の勤める会社がブラック企業だった場合、一体どうすればいいのでしょうか。
個人で会社に掛け合う、というのは現実的ではないでしょう。労働組合に頼るという手段もありますが、中には労働組合が機能していなかったり、そもそも労働組合が存在しないブラック企業も存在するようです。
そんな時は国に頼るのが一番。本記事では国がブラック企業問題に対してどのように対応しているのかをお伝えします。
行政が行う対策
1.相談窓口等の設置
総合労働相談コーナー
過重労働・セクハラ・パワハラなど、労働問題に関するあらゆる分野についての相談を専門相談員が電話・面談にて受け付けてくれます。
内容によって担当行政機関を紹介してくれるので、まずはこちらに相談してみることをお勧めします。
労働案件相談ほっとライン
公的機関の仕事というと、平日の9時から5時までしか受け付けていない場合が多いですが、仕事をしているとその時間に相談することは難しいでしょう。
そんな時に頼りになるのが「労働案件相談ほっとライン」。
月・火・木・金曜日の17時から22時まで、土日の10時から17時まで対応してくれます。
平日日中は忙しくて電話ができない、という方はこちらを利用しましょう。
労働案件相談ほっとライン:【フリーダイヤル】 0120 - 811 - 610 (はい! ろうどう)
労働基準監督署への相談
労働基準監督署は長時間労働や賃金不払いなど労働基準法規違反を監視・指導する厚生労働省の出先機関です。
悩んでいる問題がサービス残業や過重労働など労働基準関係法令違反を疑われるものである場合には、直接こちらに相談してみてもいいでしょう。
相談の結果、違反の疑いが濃厚と判断されれば、労働基準監督官が事業所に臨検に来る等の措置にもつながります。
※各地の労働基準監督署の所在地や電話番号等はこちらで調べることができます。
また、労働関係法規違反については労働基準関係情報メール窓口も設置されています。
2.『「若者応援宣言」事業』
また、厚生労働省はブラック企業問題の中でも特に「若者の使い捨て」を問題視しています。
それに対する対策の一つが、「若者応援宣言事業」の認定。
若者の採用・育成を積極的に行う企業を認定し、求職者と企業のマッチングを促進しています。
3.労働基準監督官が行う監督指導
給料や労働時間など、労働基準関係の法律違反に対応するのは労働基準監督署です。
労働基準監督官には、労働基準関連法規違反がないかどうかを会社に立ち入るなどして調査をする権限が法律で認められています。
調査は労働基準監督署が事前に立てた監督計画に基づいて行われる場合、労働者からの申告に基づいて行われる場合があり、法律違反が認められた場合には是正勧告等がなされ、重大・悪質な案件の場合には送検されることもあります。
先に紹介した相談窓口への相談やメールが契機となって行われることももちろんあるでしょう。
また、一定の基準を満たす場合には送検前に会社名が公表されることもあります。
4.過重労働撲滅特別対策班(かとく)の設置
2015年4月1日より、違法な長時間労働に関する大規模事案、困難事案等に対応するための専従対策班として「過重労働撲滅特別対策班」(通称:かとく)が東京労働局と大阪労働局に設置されました。
具体的には
長時間にわたる過重な労働が行われ、労働基準関係法令に違反し、または、違反する疑いがある事案であって
① 監督指導において事実関係の確認調査が広範囲にわたる事案
② 司法事件で捜査対象が多岐にわたる事案
③ 被疑事実の立証等に高度な捜査技術を必要とする事案
等について、積極的かつ効率的な処理を行う。
とのこと。
違法な長時間労働に関する規模の大きな事件や、データ改ざん等により証拠集めが大変な場合など、通常の労働基準監督官による対応が困難な案件にはこの「かとく」が対応することになります。
2016年1月27日時点で「かとく」により書類送検されたケースは、靴専門店チェーン大手のABCマート、「まいどおおきに食堂」「串家物語」等を展開する大手外食チェーンのフジオフードシステム、そしてディスカウントストア大手のドン・キホーテの3つのみですが、今後もブラック企業対策として期待される組織です。
ブラック企業に関連する法律
労働基準に関する一般的な法律には、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法、労働契約法など。
また、平成26年11月1日に施行された過労死等防止対策推進法、平成27年10月から順次施行されている青少年の雇用の促進等に関する法律(若者雇用促進法)などもブラック企業対策の法律です。
厚生労働省をはじめとする行政機関は、国会の作る法律に基づいて行動しています。
現状の行政では対応できない問題であっても、国会で法律を作ることで対応できるようになることは多々あるでしょう。
行政のみならず、国会もブラック企業対策をしっかりと考えているようです。
それでもブラック企業はなくならない?
このように国はブラック企業に対する対策をいくつも実施しています。
しかし、これらはどれも対処療法。ブラック企業が増える根本的な原因は企業の経済状況の悪化です。
アベノミクスにより景気が良くなっているという見方もある一方で、その恩恵を受けているのはごく一部の大企業だけであり中小企業は依然として苦しい状態にある、という批判を耳にしたことがある方も多いでしょう。
また、景気の指標となる株価も、要所で日銀やGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が巨額の資金に物を言わせて釣り上げているのではないか、との見方もあるなど日本の景気は不明瞭な状態です。
国際化による競合企業の増加や価格競争による企業同士の体力の削り合いの激化などにより、今後企業の業績がどう変化するかはわかりません。
JALや東芝のようにかつては日本が世界に誇るトップレベルの企業だった会社が、一転して窮地に立たされる例も珍しくはないのです。
ブラック企業増加の原因が経営状態の悪化にあるとすれば、今後ブラック企業がますます増える可能性は十分にあるでしょう。
今はホワイトな会社でも、明日ブラックにならない保証はありません。
ブラック企業問題はすべての会社に潜在的にひそんでいる問題です。
会社に雇われるサラリーマンである以上、ブラック企業の問題から逃れることはできないでしょう。
ブラック企業から完全に解放されるための方法は一つ、サラリーマンをやめることです。
会社に雇われるのをやめれば、サービス残業や長時間労働を強制されることも、上司の理不尽なパワハラ・セクハラを受けることもありません。
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